恵まれたものは何?
終わりは突然やってくる。
同い年の知人が亡くなったのは、暑い季節のことだった。
早くに結婚して、離婚して、働いて、子供がいて
はたちそこそこなのに、凝縮された人生だった。
学生という選択しか考えられなかった私には、それだけで
正反対に思える人だった。
すらっと背が高くて細くて、パンツスーツが似合い
さばさばしていることで、女らしさが引き立つような人だった。
私は昔から、レースの靴下をはいてるような子で
髪も短くしたことがないし、甘々な服だって平気で着られる。
けれども実のところ、私が、女として誰かを争いたくはないなと思うのは
「たわわ」ではなく、こんな感じの人だ。
私と彼女は、生まれた時が間近なのだが
彼女が亡くなって初めて、そのことを実感し始めた。
寒い季節に生まれた私たちだったが、彼女はその年の誕生日を待たずして
夏に逝ってしまったのだ。
だから、夏が来るたびに、年を重ねるごとに思う。
彼女の時はもう、止まったままなのだと。
彼女以外にも、年若い友人が亡くなったのはみんな、夏。
その分までもなんて言えないけれど、いつでも後悔のないようにと強く思うのだ。
特に人づきあいに関しては。
時期を逸せず感謝を、謝罪を、そして愛情表現を。
死とも限らない終わりが、いつ訪れてもいいように。
自分にも。相手にも。
若くして亡くなる人は、周囲の人に、日常では
見えなくなったものを、気付かせてくれるのかもしれない。
そう会うこともなかった、私にさえも。
「Tell Me Sister」という曲を聞くと、このようなことが頭を駆け巡る。
ないものねだりをしたら、きりがない。
けれど持ちすぎているものも、誰だってあるのだろう。
なのに他人が妬ましい。そして過去の自分が愚かしい。
それでも、そんな自分を直視したときやっと、「そのままでいいのに」と
思うことができる。
憧れの人に、成り代わってみたいなんて思うときがある。
すごい美人とか。
でも、みゆきさんは遠慮したい。
なんだかんだ言っても、しんどそうなんだもん。
彼女にしか引き受けられない人生って気がするから。

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